立秋
◇秋立つやほろりと落ちし蝉の殻(正岡子規)
◇立秋(りっしゅう=7日)
夏のまっただ中で迎える二十四節気。暦の上ではこの日から秋が始まるという意味だが、「もう秋なの?」というのが実感だろう。
だが、日本人は気候の変化を鋭敏にとらえ、季節感を磨いてきた。平安時代の歌人で、三十六歌仙の一人である藤原敏行の「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(古今和歌集)は、どこかで耳にしたこともあるのではないか。
目には見えぬ季節の移ろいを、風の音で知るなんて、なんと繊細なことか。朝夕の涼やかな風や空の高さ、草むらから聞こえる虫の鳴き声に秋の気配が探してみるのも楽しい。この日以降の暑さを残暑といい、あいさつ状は「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わる。
文:Richard Gaga
写真:yasushi.o
0コメント