9月
◇9月
旧暦では「長月(ながつき)」という。夜が次第に長くなるころから「夜長月(よながづ き)」、雨の多いころなので「長雨月(ながあめづき)」が、それぞれ略されたという説など がある。稲刈りの時期であり、「長」は稲が無事に育ったことを祝う意味があるともいわれ る。
今年の厳しい残暑はまだまだ続く。それでも周囲を眺めれば、空にはいわし雲、野原など には赤トンボが飛び交い、夕べには草むらからは虫の声がにぎやかに聞かれるなど、秋への 歩みは着実に進んでいる。
生活の上では、秋たけなわの行事が続くとともに、灯火親しむ候でもある。夜長を利用し てオシャレな音楽を BGM に読書にいそしむなど、すてきな秋の夜を楽しみましょう。
さて、この月にも味わいのある異称をいくつか紹介しよう。稲刈づき(いねかりづき)、 菊咲月(きくざきづき)、色取づき(いろどりづき)、そして寝覚月(ねざめづき)。
古今和歌集から、この時期にぴったりの恋歌をひとつ紹介しよう。 「今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな」(素性法師)
◇釣鐘のうなる許(ばか)りに野分かな(夏目漱石)
文:Richard Gaga
写真:yasushi.o
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